
「戦略創発研究会」という実務家主宰の研究会にご縁あって参加させていただいている。そこでは「新しい組織のリーダーズ」について議論/研究するという命題が与えられている。博報堂OBの大先輩、伊賀アキラさんが主宰する研究会だ。
様々な議論が繰り広げられ、とても有意義なのだけれど、いよいよ核心である「新しいリーダーズ」へとテーマが移りつつあるように思う。
機は熟した感。
「新しい組織のリーダーズ」とは「新しいリーダー」と「新しい組織のリーダー」両方の意味が込められているらしい。
それでは、まずは「新しいリーダー」からいってみようか、と個人的には思っている(スラダン仙道風に)。
そんな中、昨日の京都市交響楽団のコンサートで発見があったので共有しておきたい。(研究会でももちろん共有した)
以下、私の発言である。「新しい時代のリーダーズ」とは何か?どのようなことか、各々定義してみて欲しいとお願いした後のこと。
皆さん、ありがとうございます😊だいぶ解像度高くその志が明らかになってきました。
特にAさんの定義は刺さりました。「新しいリーダー」とは、新しい価値観を持ちそれをリードする存在とは必ずしも限らない。むしろ新旧価値観問わず成員に受け入れられ、信頼され、次世代を託せると信任される存在、と定義されるものと理解しました(違ったらご指摘ください)。
そして必要な能力についても論じてくださっていますので、その議論に乗りたいと思います。
このスレッドに提出されたテーマは大きなテーマなので、どこから手をつけたものか感はありますが、この目指したい「新しい組織のリーダー像」と「必要な能力」を深掘りしていけば、自ずと目指したい「新しい組織」とは何かが見えてくるような気がしました。
前捌き終わり。ここから本題です。「新しいリーダー」に「必要な能力・素養とは何か?」が私の置いた「問い」です。
博報堂的で恐縮ながら、雑談から入ります。
昨日、ファインアートに触れる機会を得て、思うところがありましたので、記録として共有したいと思います。(ファインアートについては【別スレッド】の議論もご参照ください)
【何故コンサートに行くことになったかのくだりが続きますが、極めてパーソナルなことなのでここでは割愛します】
私がFUTへの着任が決まったという連絡をしたら、お祝いということなのか、ちょうど福井でコンサートがあるので招待したいというお話を頂戴しました。
音楽全般が好きで、父親の仕事の影響もありクラシックのコンサートも招かれてよく足を運んでいましたから、抵抗は一切なく「喜んでお伺いします」とお返事させていただきました。
で、昨日。市のホールで行われたコンサートに行ってきました。
<ハーモニーホールふくい>沖澤のどか指揮 京都市交響楽団
交響曲 第3番 ト短調 op.36 L. ファランク
交響組曲「シェエラザード」op.35 リムスキー・コルサコフ
沖澤のどかさんの指揮のもと、石田泰尚さん(京響特別客演コンサートマスター)のヴァイオリンを核に、それはもう大変素晴らしい演奏でした。
久しぶりに音楽で魂を揺さぶられる思いをして、そう言えばクラシック音楽そのものではそこまでの感動はないのだけれど、生の演奏ではこのような経験をしばしばしたことがあったことを身体が思い出しました。(ベンヤミンのアウラの消失問題ですね😁)
さて、伊賀さんは戦略マエストロを名乗られているのでした。まだお若いので沖澤のどかさんはマエストロの域に達しているとは言えませんが、しかし、ご経歴的にも、実際の指揮の様子を見ても、近い将来マエストロを名乗れそうな感覚がありました。マエストロの卵といったところでしょうか。(素人の感想です)
彼女がどんな動きをされるのかが今回の私の観察対象でした。(こちらは一応プロの研究者として💦)
沖澤さんの動きで良いなと思ったのは、演奏終了後のことでした。
素晴らしい指揮であり、演奏でしたので、拍手👏が湧き起こるわけです。
クラシックのコンサートに行ったことのある方ならご理解いただけると思いますが、それは何度も何度も続きます。プロレスみたいです。予定調和の観客と演奏者たちの共演。
その中で指揮者は様々なバリエーションを示しながら(まさに指揮しながら)観客に感謝の意を示すのですが、その中で、各パートのマスターや若手を指名して、拍手👏を1人1人に届ける仕草をされたことが私の意識に止まりました。
今まであまり気にしてきませんでしたが、改めて、これは面白い現象だなぁと思いました。
沖澤さんは、自身と楽団に向けられた観客の拍手👏をコントロールし、楽団の1人1人にスポットライトを当て、自組織のメンバーを讃え、鼓舞し、そしてさらには自ら観客とともに拍手を贈ったのです。
クラシックの指揮者は昔から伝統的にこうしたしきたりがあったのかもしれません。だとしたら、楽団は常に「新しい組織」を先取りしていたのかもしれません。
あるいは伝統的な組織としての楽団も、徐々に「新しい組織」へと変革していったということなのかもしれません。
歴史的な背景や経緯はともかくとして(有識者に確認中です)、新しい組織のリーダーズの素養のひとつはこのような(沖澤のどかさんのような)ものではないかと思ったのでした。
つまり、強烈なリーダーシップを発揮しているのか、対話と支援をベースにしながら自組織をリードしているのかは分かりませんが、最後の最後に組織が浴びる賞賛を1人1人に還元し、自らもその中で賛辞を贈り、鼓舞する存在ということです。
企業に置き換えてみましょう。プロジェクトが成功し、社長も役員も上司や同僚・後輩たちみんなが賞賛を贈る中、新しい組織のリーダーはそれを受け止めてこう返します。
「皆さん、ありがとうございます。このようなご評価をいただき大変光栄です。このプロジェクトはここにいるメンバーひとりひとりの貢献がなければ成立し得ませんでした。僅かなご紹介にはなってしまいますが、その貢献を皆さんにお示ししたいと思います。まずは、私の右腕として、常に私を支え、そしてメンバーをリードし、鼓舞し続け、自らも素晴らしい働きをしてくれた◯◯さんです。本当にありがとう。〜〜(全パート紹介と賞賛が続く)。
最後に、社長、役員の皆さん、そしてこのチームを支えてくださった同僚の皆さんにも心から感謝を申し上げたい思います。皆さんのご支援なくしてこの成功はあり得ませんでした。本当にありがとうございました(深々と一礼する)」
沖澤のどかさんの「拍手👏への応答」はまさにこんな感じでした。
ここからは余談ですが、これに関連して、象徴的な出来事が起こります。
各パートごとに賞賛を贈った後、さあ、全体でお客様に挨拶しましょうと言わんばかりに、振り返り、奏者たちを起立させようと仕草を送ります。
ところが、コンマスを筆頭に誰も立とうとはしません。
困惑する沖澤さん。
すると、おもむろにコンマスが立ち上がり、観客に向かって、指揮者である沖澤さんへの拍手👏を求めます。
一層大きくなる拍手👏
沖澤さんは少しだけはにかんで、コンマスである石田さんに歩み寄り握手🤝を交わします。
そして指揮台に戻り、改めて全員の起立を促します。
今度は全員が立ち上がり、そして深々と一礼をする。
これこそ総合芸術だな、と思いました😁
プロレスと一緒だと思うので、ここまでがしっかりと設計されたショーなのかもしれません。
だとしても、素晴らしいショーであったことには間違いありませんし、沖澤さんが成員に対して賞賛を贈っていたことは揺るがしようのない事実です。
結論を繰り返します。最後の最後に組織が浴びる賞賛を1人1人に還元し、自らもその中で賛辞を贈り、鼓舞する存在、それが「リーダー」のあるべき姿だと私は考えました。
しかし、これが「新しい組織の」リーダーなのかはよくわかりません。リーダーは皆こうあって欲しいものです💦
故に、次は「新しい組織のリーダー」像と同時に「古い組織のリーダー」像についても深掘りして議論してみるとよいのではないかなと思いました。
この話題について、皆さんから何かご意見・ご感想/コメントなどを頂戴できますと幸いです☺️
いかがでしたでしょうか?
「新しい組織のリーダーズ」についての議論はまだまだ続きそうです。
ご関心をお持ちいただきました方はご連絡ください。
一応、参加条件があるそうですので、それをお伝えしたいと思います。
いやあ、それにしても素晴らしい指揮と演奏であり、豊かな時間でした🎻